▲28糎榴弾砲の堅鉄破甲榴弾

「奉納　明治三十七八年日露戦役於旅順港内敵艦バーヤ ン命中我軍二〇〇山高地射砲二十八珊砲丸　呉軍港廻航記念　元海軍一等信號兵曹　勳七等矢木野新七」

とある。明治37年12月6日、第三軍は二〇三高地を占領、旅順港内の艦艇を28榴で砲撃、装甲巡洋艦バヤーン、防御巡洋艦パルラーダなどを沈没着底させた。
翌年に引き揚げて呉に回航、艦内から不発弾が見つかったのだが、そのひとつらしい。

バヤーンはフランスで建造されたロシア軍艦。
修理のあと日本海軍に編入され巡洋艦「阿蘇」となった。おもに練習艦隊で士官候補生の遠洋航海に使われていたが、大正9年に機雷敷設艦に改造・類別変更された。
昭和6年除籍。

弾体は径約27センチ、長約81センチ。
28糎榴弾砲は明治25年に制式となった大阪砲兵工廠製造の国産砲である。
海岸砲として各要塞の備砲となっていたが、日露戦においては旅順攻撃に18門、奉天会戦では6門が参加、多大な功績を残した。