舞鶴館（舞鶴海軍工廠・旧本館）

この建物は、舞鶴海軍工廠の最初の建築物の一部で、明治35年に建てられた。
当時においては工廠建設の中心であり、その後、海軍工廠長室をはじめ艦艇建造の中枢の各部門がこの中にあった。

昭和45年、歴史・安全・発明考案の展示館として永く保存するため、玄関と建物の一部をここに移築した。
内部は舞鶴海軍工廠の歴史と、造船に関する資料などが展示されている。

旧工廠は現在、ジャパン マリンユナイテッド舞鶴事業所となっているが、敷地内には工廠当時の建物がたくさん残っており、工場や倉庫等としてまだ使われている。

▲第一船渠（明治37年完成）の記念物

舞鶴海軍工廠

明治34年に舞鶴鎮守府が設置され、同時に舞鶴造船廠として発足した。36年、舞鶴海軍工廠と改名、造船・造機・造兵の各部に分かれていたが、大正12年軍縮のため工作部に縮小され、そして昭和11年再び工廠に格上げされた。

開設当初は艦艇の補修が業務だったが、その後、建造が開始され、そのほとんどが駆逐艦であった。明治39年駆逐艦「追風」を皮切りに、以後昭和20年までに70余隻の駆逐艦を建造した。
新型駆逐艦のシリーズ第一番艦は舞鶴で建造されるのを常としていた。
また、水雷艇などの小型艦艇や水中兵器の建造も特色とされた。

▲装甲巡洋艦「八雲」の錨
「八雲」は、昭和22年にここで解体された。

▲「八雲」の艦長机

▲「八雲」の望遠鏡

日清戦争後、日本海軍はロシア極東艦隊に対抗できる戦力として、いわゆる六六艦隊の構想をもった。しかし、当時の日本には大型艦を建造する能力もノウハウもなく、これらの艦はすべて欧州に発注された。
ドイツとフランスに装甲巡洋艦１隻ずつが発注され、残りはすべて英国に発注された。その中でドイツに発注され、明治33年に竣工した装甲巡洋艦が「八雲」であった。

日露戦争では黄海海戦や日本海海戦に参戦。第一次大戦では青島攻略作戦や、蘭印方面の通商保護作戦に参加、その後は候補生の遠航に充てられた。大正10年には類別変更で海防艦に。
昭和17年、一等巡洋艦に復帰し、兵学校の練習艦に指定され運用実習などに用いられた。

戦後は特別輸送艦となり、主に朝鮮や北支などからの復員輸送に従事した。

震洋は木製のモーターボートであるが、艇主に250キロの爆薬を搭載、敵船舶に対して体当たりを敢行するというもの。
陸軍のマルレ艇とほぼ同じであるが、レ艇は後部に爆雷を積んだ。

▲「蛟龍」の冷凍機用空気圧縮機
「甲標的」は極秘兵器であったので、名称を秘匿するため、｢特殊潜航艇｣と呼ばれていた。甲標的甲型は搭乗員２名で魚雷を二本搭載。真珠湾攻撃、ディエゴスワレス湾、シドニー港の泊地攻撃などに出撃した。
その後、3人乗りの甲標的乙型が試作され、その量産型が丙型である。
昭和20年には5人乗りの丁型が開発され、それが「蛟龍で」ある。蛟龍は５日間行動でき、小型潜水艦なみに改良されたものだった。

▲時鐘▲二代「吾妻」時鐘
旧海軍の艦艇にはすべて舷門（艦の入り口）に時鐘が設けてあり当番の兵士が艦内に時刻を告げた。
この時鐘が用いられた艦の名前は不明だが大正初期の掃海艇らしい。
現在の工場でも、組立ショップではディーゼルエンジンの組み立て起動時に作業員に注意を喚起するため、鋳造ショップでは電気炉から溶けた鋼を取鍋に注入するときの合図などに時鐘が使われているそうだ。

▲二代「吾妻」時鐘（右）
装甲巡洋艦「吾妻」も上記「八雲」と同じく六六艦隊計画で欧州に発注された。「吾妻」はフランスで建造された艦で、日露戦争では、第二艦隊の主力として活躍、日露戦後は練習艦となって遠洋航海に出る事が多かった。
大正末からは舞鶴に係留され続け、舞鶴海兵団や海軍機関学校の練習艦等に使われた。
昭和6年、海防艦に種別変更され、17年には軍艦籍を離れて練習特務艦となったが、菊の御紋章は装着し続けていた。
昭和19年に除籍となり間もなく解体された。

「吾妻」は舞鶴市の通りの名にもなっている。

　　　　　　　装甲巡洋艦「吾妻」主錨→乃木神社

▲戦艦「陸奥」の引揚品　
「陸奥」の四番砲塔付近の一部と、自衛艦「まきなみ」の後部砲台付近の一部。
展示の主旨は船殻構造の戦前戦後の比較、というもの。

▲陸軍中将小澤仙吉の揮毫。昭16〜19年に工廠長だった。
右は鬼瓦。菊花紋章がある。

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